2007年8月22日水曜日

携帯電話の効能について


今年、還暦を迎える知人がついに携帯電話デビューを果たした。ちょっと恥ずかしそうに「旅先で公衆電話を探して走り回るのに疲れた」と説明していた。「かけてきても出ないよ。こっちがかける時しか使わないから…」とも言い訳していたが、着信履歴が残るのは便利だ、とも言っていた。確かに年中、全国を旅して回っている彼にとって「携帯電話を持っているのが前提」の今の日本は生きていくのが大変な国になっていたようだ。渋谷のハチ公前の公衆電話がなくなったのは何年前のことか。以前は急ぎの電話をかけるためにあの長い列に並んでイライラしてたっけ。今は公衆電話を探すことの煩雑さを忘れてしまい、必要としている人たちのことも何も考えたことがなかった。

もうすぐ80になる田舎の母親が最近、膝の手術で入院しはじめて携帯電話を持たせた。家にひとりでいる父親とすぐに連絡が取れるように。離れて暮らしている我々や孫たちの声もすぐに聞かせることができるように。病院の公衆電話まで歩いていけない病人にとってはまさに必需品だった。退院すると最近は、すっかりテレビの上の飾りになっているが…。

携帯電話に馴れっこになった現代人。逆に無くなってしまったときの恐怖も尋常ではない。1991年にさかのぼってあの頃の自分を取り戻せるのか!

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