2007年9月26日水曜日

バイオ燃料と食の歴史

今、世界中で注目を集めている新しいエネルギー、「バイオ燃料」について考えてみた。生物体の持つエネルギーを利用した燃料のことで、CO2排出量が減ることから主に自動車を動かす石油燃料の代替物として期待されている。主な材料はトウモロコシ、サトウキビ、食用油、おがくずや有機廃棄物など多岐にわたるらしい。地球温暖化対策としてますます重視されている。

ところが、ここで問題が起きた。大量のサトウキビ、小麦、トウモロコシ等を利用するため年間の生産量が決まっている穀物類の供給不足が始まったのだ。そして食料の自給率40%の日本に食品の値上げラッシュの波が押し寄せてきた。粉製品や植物油、マヨネーズやカップめんまでが値上がりする。

コロンブスが新大陸を発見して16世紀から始まった大航海時代、世界中で食文化の大革命が劇的に進行した。新大陸が原産地のトウモロコシが「貧者の小麦」と呼ばれヨーロッパやアフリカに広まった。古代エジプト時代から小麦は発酵性の高さゆえ世界中で食用されてきた。そして、今でも世界で最も多く生産される農作物のサトウキビは新大陸のプランテーションで大量に生産されるようになって世界の食の文化を一変させた歴史を持つ。

これほど世界を変えるほどのパワーの食品たちの歴史に対して、人間はあまりにも不遜で傲慢ではないか。地球温暖化対策は、世界規模で取り組まなければならない緊急事項であることは間違いない。

しかし、人間が築いてきた食の世界史を無視して代替のエネルギーに安易に跳び付く前に、食の安定供給に命がけで取り組んだ先人たちの、食物への偉大なる情熱の歴史をここでじっくり考えてみることが必要ではないのか。

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